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旅のおわり

あるとき ここに ひとりの予言者が現れて 

キミにたずねる

「もうみつかった?」

キミはこたえる

「まだ旅の途中だよ」

予言者は言った 「いつみつかるんだい?」

キミは言う 「それが分からない」

預言者は続けた

「大切なものは いつも 一番近くにあるんだよ

 見つけようと思えば いつでも見つけられる

 見つからないのは、まだ見つけたくないから」

キミは言った 「いつになったら見つけたくなるの?」

預言者は言った 「その時がきたらね」

キミは言う 「でもそろそろ旅にもあきたし、 ゆっくりしたいな」

預言者は言う 「いい感じだね、 家はすぐそこだよ」

キミはたずねた 「なぜ分かるんだい?」

預言者はこたえる 「だって キミはボクだから」
      
         「ボクはいつだって キミといっしょだ」

キミは言う 「キミはボクなの? いつからそこにいたんだい?」

預言者は言う 「キミが生まれてからずっとさ
        気づかなかったかい?
        キミはずっと旅をしていたからね
        キミが帰りたくなったらいつでも帰っておいで
        ボクとゆっくり休もう
        ボクはいつもキミの味方さ
        楽しいときも、つらいときも、やんちゃしたときだって
        いつも味方だよ」

キミは答える 「そっか、気づかないふりをしていたけど、
        ほんとうはずっと知っていた気がする
        なつかしい感覚
        あたりまえだけど、あたりまえじゃなかったこと」

預言者は言う 「そうだね
        じゃあそろそろ ボクは本当のキミになるよ
        ボクとキミはいつも一緒さ
        キミがそれを知っていてくれれば それでいい
        それだけで ボクは幸せさ」

キミは言う 「ありがとう
       今まで本当にありがとう
       でもこれからも 一緒にいてくれるね?」

預言者は言う 「そうだね、 そうしたいけど
        これからはムリなんだ
   
        キミがひとりで歩かなきゃいけないんだ
        ここからは2人ではいけないんだ
        ボクはキミとひとつになって進むんだ
        消えてしまうのは少しさみしいけど
        でも この上なく幸せなんだ
        生きてきた意味があるってもんさ
        これが ボクの生まれた理由さ
        
        キミはこれから ボクの手を離して
        キミ自身を生きなきゃならない
  
        今は少しこわくて、勇気がいるかもしれないけれど、
        キミの本当の物語が始まるんだよ
        本当の幸せ これこそ キミの生まれた理由さ
        意味のない世界、価値のない世界
        だけど、とんでもなく自由で幸せな世界
        キミがつくっていくんだ
        これからのことは、キミの手の中にあるよ
        どう使うかは キミ次第
        なんでもいいんだ、どんなことでも楽しめるんだ
        悲しくもなれる、楽しくもなれる、
        本当に自由さ

        さあ、ボクの手をはなして
        今たっている場所をみて

        そんなキミにボクからさいごの言葉だ

        会えてよかった ありがとう」


キミはボクになった
そして、今たっているその場所をみた

そこには、今までとはなにも変わらない
だけど、確かな手ごたえを感じる 景色があった

ボクだけの世界になった
yuki inada | 物語 | 11:08 | - | - |

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